2014年12月18日木曜日

2015年版 間違いだらけのクルマ選び 徳大寺有恒、島下泰久著 進化促す秀逸な批評 - 日本経済新聞

2015年版 間違いだらけのクルマ選び 徳大寺有恒、島下泰久著 進化促す秀逸な批評

日本経済新聞

... 「はたして日本車は美しいだろうか」という問いかけと、トヨタの燃料電池車「ミライ」の登場の重要性を手際よく語ることから本書は始まる。それは日本の自動車メーカーの強さと弱さへの徳大寺有恒の遺言である。 また、島下泰久による、楽しさと、安全という側面からの「自動 ...(草思社・1400円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています)

「はたして日本車は美しいだろうか」という問いかけと、トヨタの燃料電池車「ミライ」の登場の重要性を手際よく語ることから本書は始まる。それは日本の自動車メーカーの強さと弱さへの徳大寺有恒の遺言である。

また、島下泰久による、楽しさと、安全という側面からの「自動運転」への疑義と、ホンダのトラブルの続出がサプライヤーとの関係において発生していることの指摘に、評者は大きく頷(うなず)く。

いうまでもないことだが、徳大寺有恒が日本のクルマの進化に果たした役割ははかりしれない。どのような「もの」も批評(評価)をぬきには発展しないのだ。

島下との最後の共著である「2015年版」を読みながら、改めてクルマのもつ無限の楽しさを感じた。島下はマツダのデミオを「世界に胸を張りたい出来」として論じているが、たしかに街でみる新しいデミオは小気味が良い。あるいは新しいクラウンへの辛辣さ。批評というものはこうでなければならない。匿名ではなく、自分の言葉に責任をもってこそ批評は成り立つ。次年版からの島下の役割が期待される。本年の掉尾(とうび)を飾る5つ星。

★★★★★

(福山大学教授 中沢孝夫)

[日本経済新聞夕刊2014年12月17日付]

★★★★★ これを読まなくては損をする

★★★★☆ 読みごたえたっぷり、お薦め

★★★☆☆ 読みごたえあり

★★☆☆☆ 価格の価値はあり

★☆☆☆☆ 話題作だが、ピンとこなかった

2015年版間違いだらけのクルマ選び

著者:徳大寺 有恒, 島下 泰久

出版:草思社

価格:1,512円(税込み)

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魂をなくした男(上・下) ブライアン・フリーマントル著 中年スパイが一発逆転 - 日本経済新聞

魂をなくした男(上・下) ブライアン・フリーマントル著 中年スパイが一発逆転

日本経済新聞

冷戦期から延々とつづく窓際族スパイ・シリーズの最新作。驚くことに(失礼)、集大成のような傑作になった。ソ連がロシアと変わっても、熾烈(しれつ)な情報戦の対決構造は不変(?)である。 冴(さ)えない中年男チャーリー。いつも組織の生贄(いけにえ)にされかかるが、一発 ...(新潮文庫・各670円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています)

冷戦期から延々とつづく窓際族スパイ・シリーズの最新作。驚くことに(失礼)、集大成のような傑作になった。ソ連がロシアと変わっても、熾烈(しれつ)な情報戦の対決構造は不変(?)である。

冴(さ)えない中年男チャーリー。いつも組織の生贄(いけにえ)にされかかるが、一発逆転、罠(わな)を逃れる奇跡のスパイ。生き延びつづけて、三十余年。

要人の亡命、内部の裏切り、主人公に迫る暗殺チーム。今回も、道具立てはオーソドックス。情報戦のプロが集って心理のかけひきを競う。敵の敵も、周囲はみな敵だ。ん? これは、時計の針が止まっているかのような「冷戦世界」か。

しかも、場面のほとんどは室内。病室、尋問室、ホテル、会議室。アクションはない。主人公が空港で銃撃される事件(正確には、これは前作から引き継いだプロット)は、分析の対象だ。つまり「途中から始まっている」ような小説なのだ。

……この調子で紹介していくと★1個と勘違いされそうだな。

ところがお立会(たちあ)い!

フルサと地味さに徹したこの小説が、なんと面白いのだ。フリーマントル節、ここに全開。戸田裕之訳。

★★★★

(評論家 野崎六助)

[日本経済新聞夕刊2014年12月17日付]

★★★★★ これを読まなくては損をする

★★★★☆ 読みごたえたっぷり、お薦め

★★★☆☆ 読みごたえあり

★★☆☆☆ 価格の価値はあり

★☆☆☆☆ 話題作だが、ピンとこなかった

魂をなくした男(上) (新潮文庫)

著者:ブライアン フリーマントル

出版:新潮社

価格:724円(税込み)

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2014年12月17日水曜日

日本売りより日本頼みのヘッジファンド - 日本経済新聞

日本売りより日本頼みのヘッジファンド

日本経済新聞

クリスマス休暇を控え、ヘッジファンドは、虎視眈々(たんたん)と日本株買い・円売りポジション巻き戻しのタイミングを狙っていた。 そこに降って湧いたような、ギリシャ不安再燃と中国株乱高下。 彼らの立場からは、格好の売り手仕舞いの口実となった。 ここで、今後の日本株を ...

ホテルオークラ流、達人の窓ふき 心も晴れる磨き方 - 日本経済新聞

ホテルオークラ流、達人の窓ふき 心も晴れる磨き方

日本経済新聞

記者が試して調べた暮らしの知恵が書籍になりましたとことん試します かんたんキレイ術! 出版:日本経済新聞出版社価格:1,260円(税込み). この書籍を購入する (ヘルプ):; Amazon.co.jp|; 楽天ブックス. 暮らしの知恵をMyニュースでまとめ読み. フォローする. Myニュース.大掃除のシーズン。忙しくて時間がない人も、窓だけはホテルのように一点の曇りもない状態に磨いて、新年を迎えたいものだ。ホテルオークラ東京(東京・港)で客室管理を長年担ってきた小野瀬玲・宿泊統括部部長に家庭でも使えるプロの窓磨きの技を聞いた。

小野瀬玲(おのせ・あきら) 東京都出身。1981年、大成観光(現ホテルオークラ)入社、要人が泊まるペントハウスなど客室を長く担当。2014年から宿泊統括部部長。社内検定「マスターオブハウスキーピング」の試験官も務める。53歳

――ホテルの窓はなぜピカピカなのですか。

「毎日多くの人の出入りがありますから、窓ガラスは様々な汚れがつきます。お子様の鼻や手形がくっきりつくことも。それを放置することは許されません。客室担当だけでなく全員が、気づいた時にすぐ拭いています。社内では1室につき83の清掃チェック項目を設けています。それを15分以内にすべて確認し、お客様に使っていただけるか見極めます。お客様が部屋に入って外の景色を見たとき、窓が汚れていては心が晴れ晴れとしませんよね。洗面台やコップにも磨き残しはないか、くまなく確認するのは基本動作です」

「おかげで家内にあてにされ、休日も家で掃除をしています。中でも窓はまめに拭きます。一見きれいでも、触るとざらつくことがよくある。居間や台所など多くの部屋にありますが、どの部屋も1番目立つガラスを拭くと部屋が明るくなる。半面、汚れが目立ちやすい所でもあります」

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――窓拭きの道具は。

「客室係が必ず持っているのは、ダスターと呼ぶ使い古した手ふき用タオル。三つ折りを2回繰り返して片手で持てるようにして使います。半分をぬらして汚れを落とし、乾いている所で拭いて仕上げます。家庭と違うのはダスターをクリーニングに出すこと。窓は常にきれいな布で拭く。100円均一ショップなどで売っているスクイージーも便利です」

――拭く手順は。

「ほとんどの汚れはペットボトルの水に台所用洗剤を数滴たらした液体で落ちます。まず、ダスターやスポンジにしみ込ませ、窓面をぬらし汚れをふやかします。直接スプレーしたり、洗剤を濃くしたりするのは禁物。泡が立ちすぎると何度も拭かなければならず手間です。液がたれるほどぬらす必要はありません。汚れが広がるのでゴシゴシ拭くのもやめましょう」

「汚れがふやけたら、ダスターやスクイージーで上から下に線を引くように拭いていきます。スクイージーは下まで拭いたら毎回ダスターでぬぐうことが肝心。下までいったら横に拭いて、汚れた液がたれないようにします。大きな窓は上下に二分して拭くのもよいでしょう。欲ばらないのもコツの一つです」

――拭いても筋が残る。

「ダスターで汚れを拭きとったら、必ず乾いたタオルで仕上げます。ポイントは真綿をなでるように優しくから拭きすること。力をいれてふいても、うまくいかず疲れるだけ。三つ折りを2回すれば適度な厚みになり、ふわっと握って優しく円を描くように仕上げられます。ただし、スクイージーで汚れを取った場合は、から拭きは不要です」

「鏡も基本は同じですが、洗面台の鏡は汚れがつきやすい下の方から拭くとよいでしょう。浴室の鏡は魚のウロコのようなシミがよくできます。水のカルキ成分が固まったもので、ダスターやスクイージーでは取れません。ダイヤモンドの粉がついた専用パッドが千円程度で市販されています。それを使いましょう」

――大掃除の季節です。

「33年前にホテル勤めを始めて以来、清掃がどれだけ大切かを先輩たちからたたき込まれてきました。客室担当はホテルの裏方。でも、お客様は客室にいる時間が一番長いのです。快適に過ごしてもらい、また泊まっていただけるよう、念には念を入れなければいけない。それは家庭でも同じだと思うのです。自分と家族が快適に過ごすため、全員で掃除を心がける。それで家庭も円満になるはず。我が家もそうですよ」

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リターン・トゥ・ケインズ B・W・ベイトマンほか編 金融危機後の経済学界の変化 - 日本経済新聞

リターン・トゥ・ケインズ B・W・ベイトマンほか編 金融危機後の経済学界の変化

日本経済新聞

世界金融危機とその後の深刻な不況は、マクロ経済学研究の方向に大きな疑問を投げかけた。危機前には、ケインジアンと古典派の長期論争の中から、両者を統合したニューケインジアンの動学的確率一般均衡(DSGE)モデルという新たな標準が生まれ、最適な政策ルールが ...世界金融危機とその後の深刻な不況は、マクロ経済学研究の方向に大きな疑問を投げかけた。危機前には、ケインジアンと古典派の長期論争の中から、両者を統合したニューケインジアンの動学的確率一般均衡(DSGE)モデルという新たな標準が生まれ、最適な政策ルールが分析されるようになっていた。危機によって、現実と理論の双方が崩れたかのように思われた。市場の価格発見機能や調整機能を信用して、均衡点の周囲における変動を分析することの、現実妥当性が揺らいでいた。

(平井俊顕監訳、東京大学出版会・5600円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています)

危機対応の諸策が施される中、学界においては研究パラダイムの再検討が進められた。温故知新も有力な研究戦略となった。不況下の財政政策の有効性が再評価されたり、第2次大戦後に懸念された長期停滞論が再注目されたりしている。本書に収められた諸論文は、主流派となったニューケインジアンとは異なる諸視点からケインズの遺産を検討しており、時宜にかなった出版といえよう。危機前から開催されてきた「国際ケインズ・コンファレンス」に基づく研究成果の邦訳で、粘り強い学説史的研究から現在の経済状況・政策に関する論究まで幅広い。

例えば、ジェームズ・トービンはケインズ経済学に対するミクロ的基礎づけの先駆者とみなされるが、ニューケインジアンが進めていた価格粘着性を中核とする研究方向については懐疑的だった。20年余り前、ニューケインジアン学派が形成されつつある中に開催された彼の講演に、激励を期待した若手研究者達はがっかりしたものである。

本書では彼の考えの背景が紹介されている。また、ニューケインジアンの旗手であるマイケル・ウッドフォードの研究枠組みを、クヌート・ヴィクセルやエリック・リンダールら20世紀前半に活躍したスウェーデンの先駆的研究者のものと、丁寧に比較した論考も興味深い。日本の研究者が中核となって推進されてきたコンファレンスであり、日本の経験に基づいた寄稿も含まれていることが喜ばしい。

現時点で米国経済は回復しつつあり、複数利子率の導入などでDSGEモデルも拡充されてきている。今日の経済システムは、世界金融危機という大ショックを乗り切りつつあるのではないだろうか。学界では、危機前の主流派パラダイムの一部は放棄され、非主流派の一部が取り入れられていく。やや読みにくい訳も散見されるが、本書のどの部分が再評価されるのか思い巡らすのも楽しみ方だろう。

(神戸大学教授 地主 敏樹)

[日本経済新聞朝刊2014年12月14日付]

リターン・トゥ・ケインズ

著者:

出版:東京大学出版会

価格:6,048円(税込み)

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つながりっぱなしの日常を生きる ダナ・ボイド著 - 日本経済新聞

つながりっぱなしの日常を生きる ダナ・ボイド著

日本経済新聞

突然だがクイズの時間だ。四六時中スマートフォンをいじりながら生活し、授業中も食事中もフェイスブックの「いいね!」の数を気にしているティーンは果たして「ネット中毒のひきこもり」だろうか。もしかしたら彼/彼女はフェイスブックで100人の「友達」を登録し、学校で人気者で ...突然だがクイズの時間だ。四六時中スマートフォンをいじりながら生活し、授業中も食事中もフェイスブックの「いいね!」の数を気にしているティーンは果たして「ネット中毒のひきこもり」だろうか。もしかしたら彼/彼女はフェイスブックで100人の「友達」を登録し、学校で人気者であるがゆえにネット上でアクティブなのかもしれない。そう、もはやインターネットは「ひきこもりのオタク」たちの楽園ではなく、「社会そのもの」なのだ。

(野中モモ訳、草思社・1800円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています)

著者はいまや不可欠のインフラとなったインターネットの存在それ自体を善/悪とする考えから徹底して距離を取り、あくまでそれを既に存在する人間の性質や社会の傾向を可視化するものである、と主張する。

たとえば本書は「デジタルネイティブ」という存在を否定する。生まれたときからインターネットに接続された社会が存在していた彼らだが、決して新しいメディアに対応した新人類などではない。私たち20世紀に生を受けた大人たちと同じように、新時代のメディアリテラシーを教えられなければウィキペディアの記述ですら平気で鵜呑(うの)みにする。

あるいはティーンをインターネットに追いやったものは何か。本書が指摘するのは、近年のセキュリティへの親世代の意識向上(過剰?)によるストリートやモールからのティーンの排除傾向や、学校選択の普及による地域コミュニティの変化といった「大人の事情」だ。要するに大人の社会が半ば無意識に現実空間からネットへティーンの社交の場を誘導しているのであり、そして今度はかつてのストリートのようにネットが危険であると苛立(いらだ)ちを募らせている、というのだ。そう、インターネットは子どもの愚かさと大人の頭の硬さを、そして既存の階層や人種の壁もそのまま電子空間に可視化するのだ。

このように166人に及ぶティーンとその親を中心としたインタビューを引用しつつ、現代の情報社会について、ひとつひとつ「俗説」を否定してゆく著者の手さばきには圧倒的な説得力がある。しかしその明晰(めいせき)な分析を理解すればするほど、既に課題は、ネットが過剰に可視化し拡張するものをいかに活(い)かしてポジティブな社会を築くか、に移行しているはずだという思いも強くなる。これほどの聡明(そうめい)な知性が本書のようなその三歩手前の「露払い」に全力でコミットしなければならないことが、現代における人間と情報技術との幸福ならざる関係を象徴しているようにも思える。

(評論家 宇野 常寛)

[日本経済新聞朝刊2014年12月14日付]

つながりっぱなしの日常を生きる: ソーシャルメディアが若者にもたらしたもの

著者:ダナ・ボイド

出版:草思社

価格:1,944円(税込み)

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エッセンシャル思考 グレッグ・マキューン著 - 日本経済新聞

エッセンシャル思考 グレッグ・マキューン著

日本経済新聞

エッセンシャル思考 最少の時間で成果を最大にする. 著者:グレッグ・マキューン出版:かんき出版価格:1,728円(税込み). この書籍を購入する (ヘルプ):; Amazon.co.jp|; 楽天ブックス. ※価格情報は掲載時のものです。 レビュー トップに戻る · ライフ トップに戻る ...ビジネス書ランキング(11月30日~12月6日)

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10(5)エッセンシャル思考

グレッグ・マキューン著(かんき出版)

(東京・八重洲ブックセンター本店、カッコ内数字は同書店の前週順位)

米コンサルティング会社代表が、効率的に業務をこなすには「本質」に基づく思考法の実践が重要と説く。「他人の期待」に基づき「すべて」「今すぐ」といった具合に業務を進めると結局、消耗戦になると指摘。「どの問題がいちばん重要か」と自問する癖をつけることが仕事の質や生産性の向上につながるという。

[日本経済新聞朝刊2014年12月14日付]

エッセンシャル思考 最少の時間で成果を最大にする

著者:グレッグ・マキューン

出版:かんき出版

価格:1,728円(税込み)

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